ちょっと私事なのですが、前職はアパレルでの仕事でした。その時出会った素材の中で愛してやまないのが、『カシミヤ』。その素材の柔らかさ、温かさを知ってからというもの、寒くなると、登場する手放せないパートナーです。
トイウコトで!カシミヤうんちく講座を本日は開催します。(笑)
『カシミヤ』と一言で言っても、糸の作り方や編み方、織方でいろいろな表情に変化します。最近は柔らかい仕上げが好まれているので、よりソフトに柔らかく仕上げる事が多いですが、昔はしっかりした糸にして、編地も目の詰まった編地で袖口がほつれるまで愛用しました。
カシミヤ山羊は(山羊ですよ!カシミヤは)中国、モンゴル地区、インド(インドのカシミール地方に生息していた山羊だったことから呼ばれるようになったのがカシミヤの由来)、中東の一部で夏と冬の気温差が激しい山岳荒地が産地。このエリアで世界のカシミヤの原毛をほぼ100%供給しているといっても過言ではありません。
とても限られた地区と環境でしか生産できない上に、羊毛(羊の毛。ウールと言われるもの)の様に毛を刈って糸にするわけではなく、冬から夏にかけて抜け落ちる産毛をすき取ったのが原毛です。
どれだけ少ないか・・・って、本当に上質な毛は一頭から200gも取れません。
『カシミヤ』は金などと同じで重さで取引されます。(基本繊維の原料はみな重さで取引されます。)
その原毛を糸にして製品にするわけですが、その工程で糸のレベルが1級から9級に分けられます。牛肉の様にA5が良いのとは違い、1級が最高級です。細く長いものが1級で人の頭髪の4分の1程の細さ、なかなか私たちの手元に届くことは無いハイブランドの高価な物行きです。
安いカシミヤは頭髪の2.5分の一程で短い繊維です。安いには安いなりの理由があり、毛の質は下がり人件費の安い地域で昼夜問わず大量に作られるのですが、その生産状況は決して評価できるものではないことが事実としてあります。ここで説明したように大量に生産出来るほど、良質のカシミヤは作れないのです。
フェアトレードなどというワードも最近になって聞く言葉です。そのような言葉が必要ない世にしたいですね。
適材適所ならぬ適材適量。素材の価値と特性を正しく評価して、適量を作る。カシミヤは希少な素材として、大切に生産され、商品になるべきものだと心から思うわけです。
私の『カシミヤ』愛が正しくお伝え出来たかな・・・。
※カシミア、カシミヤどっちが正しいのと時々質問されます。英語表記はCASHMEREで、消費者庁「家庭用品品質表記」ではカシミヤで統一されています。
自然と共に在る天然繊維には限りがあります。限りある素材に感謝して、納得した良い素材を使い、見合った価格でご提供し、気に入ってご購入していただいたら、大切に着ていただきたい!
その思いから、今年初カシミヤのストールとベレーを扱ってみました。柔らかい~!軽い~!暖かい~!とスタッフにも好評です。
今後も少しずつ良質の素材を日常に取り入れ、日々の生活のクオリティーを良いものにしていただけたらと考え、いろいろなことを発信して行こうとしています。カシミヤも少しずついろいろなアイテムで取り入れられるよう・・・
最近世の中の物の価値感がちょっと今までとは変わったな!と感じることが多々あります。
私の場合、仕事の場所が都会から少し離れた場所(カントリーサイドとでもいうのか)に移ったこともあるのか、時間の流れも仕事の内容も変化しています。
巷ではカフェが増え、身の回りの空間はお気に入りの物で自分色にしていく。気張らずゆったり自分時間を作るのが上手な人が増えてきましたよね。
そう感じるのは私だけではなく、世の中の大きなムーブメントの様に思います。
ちょっとスローなコバリラボライフです。